お 知 ら せ

主に、執筆や編集で関わった著書や論稿について紹介します。
その他のお知らせは、ブログ「"Special Needs Education"を深めよう」でも掲載しています。

『ライフワイドの視点で築く学びと育ち―障害のある子ども・青年の自分づくりと自分みがき―』出版


障害のある人にとっての「生涯学習」の意義とは、いったい何でしょうか。知的障害のある人を例にすれば、18歳までの学校教育が保障されている一方、それ以降の学びの機会は制度的にも不十分な状況にあります。しかし、近年は国の施策で障害者生涯学習支援が進められ、各地で18歳以降の学びの機会の創出が始まっています。このような動きを、18歳以降も学び続ける場を求めた「専攻科づくり」運動で大切にされてきた青年期の自分づくりの点から概観するとともに、さらには地域の中で豊かな生活を築く自分みがきやライフワイドの視点を加え、時系列的なタテへの権利保障と空間的なヨコへの権利保障を統合した、総合的な「生涯学習」の在り方を本書では提起しています。
國本にとっては、本書が初の単著となります。鳥取の地で出会った仲間たちの実例を紹介するだけでなく、「アートスペースからふる」のご協力により、表紙にも仲間たちの様子を収めることができました。本書は障害のある人に関わる教育・福祉の関係者だけでなく、社会教育やまちづくりに携わっている方にも読んでいただき、実践や活動を展開する上でのヒントを得ていただければ幸いです。

國本真吾:著
発行元:日本標準、定価880円(税込)

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『障害のある若者と学ぶ「科学」「社会」―気候変動、感染症、豪雨災害』出版

知的障害のある子ども・若者にとって、生物の進化や縄文時代の生活について知るようなこと、化学物質による汚染や核兵器の脅威について考えるようなことは、学校教育のなかでは後回しにされがちです。「科学」や「社会」についての学びは、知的障害のある子ども・若者にとって不要なのでしょうか。本書では、特別支援学校高等部(本科・専攻科)で試みられた「気候変動、感染症。豪雨災害」に関わる3つの授業実践を紹介するとともに、なぜそのような学びが必要なのかを訴えています。
國本は執筆者の一人として、総論的に第1章「障害のある若者に『科学』『社会』の学びを」を執筆しました。知的障害のある若者の学びを、青年期の発達課題に即して用意すること、そこでは価値観の揺さぶりや再形成が重要であることを論じました。そして、近年広がるSDG'sにも着目し、学校教育や青年期の学びの場における「科学」「社会」の学びの可能性を提起しています。

丸山啓史:編、國本真吾・澤田淳太郎・塩田奈津・村上穂高:執筆
発行元:クリエイツかもがわ、定価1650円(税込)

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『障がい青年の学校から社会への移行期の学び 学校・福祉事業型専攻科ガイドブック』出版

18歳以降の障害のある青年が、特別支援学校高等部・高等学校を卒業した後も学び続ける機会として、「専攻科」の設置を求めて全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会は2004年に結成されました。2008年に『もっと勉強したい!―障がい青年の生活を豊かにする学びと『専攻科』」を会として上梓し、以来、学校の専攻科設置が拡大しない中でも障害福祉サービスを活用した「福祉(事業)型専攻科」が拡大しました。
そして、2017年から文部科学省が障害者の生涯学習支援に関わる政策を開始し、2019年の有識者会議報告においても、この福祉の場での学びを想定した「移行期の学び」を施策の方向性の一つに挙げるようになりました。
國本は編者の一人として、出版に向けた準備をお世話させていただくとともに、学校型専攻科の実践を取り上げたPart1のまとめを執筆しました。学校・福祉型の違いに関わりなく、全専研に連なる学校・事業所では「学校から社会へ」と「子どもから大人へ」の二重の移行を支える「青年期教育」が行われています。その実践は、障害のある青年たちに限ったものではなく、障害の有無にかかわらず広くわが国の青年たちに必要な教育を訴えかけていると総括しています。

田中良三・國本真吾・小畑耕作・安達俊昭・全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会:編
発行元:クリエイツかもがわ、定価2200円(税込)

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『糸賀一雄研究の新展開 ひとと生まれて人間となる』出版

糸賀一雄生誕100周年(2014年)を機に、糸賀・近江学園やそれに連なる施設・人物を研究してきた実践者や研究者が集い、「糸賀一雄研究会」が組織されました。緩やかな会の形態・運営で、学会報告・学習会・見学会などを重ねてきましたが、そのメンバーを中心に執筆されたのが本書になります。
國本は編者の一人として、出版に向けた準備をお世話させていただくとともに、第1部の第5章で「糸賀思想を『ミットレーベン』への思いから読み解く―故郷の地・鳥取での足跡を辿りながら―」と題した論考を執筆しました。これまでの糸賀研究ではあまり深められていない、糸賀の故郷・鳥取に関わるエピソードをもとにし、糸賀が発した「ミットレーベン」の語に秘められた思いを読み解く形で迫っています。
ちなみに、表紙や書名の下案を作成し、編者・出版社との間で協議を重ねて仕上がりました。どのような思いを込めているかは、ぜひ本書の「あとがき」をお読みください。

渡部昭男・國本真吾・垂髪あかり:編、糸賀一雄研究会:著
発行元:三学出版、定価2300円(税別)

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『障害者問題研究』第48巻第1号 特集「知的障害教育の現在 その固有性と役割」

知的障害者の「権利としての生涯学習」
國本真吾(鳥取短期大学幼児教育保育学科)

要旨:国による障害者の生涯学習推進政策が始められ、これまで取り組まれてきた学校教育修了後の学習機会を実現する場や、その必要性を求めてきた運動に注目が寄せられている。しかし、行政による「政策としての生涯学習」は、先行して積み上げられてきた運動や実践の成果を部分的に解釈し、学習の主体である障害者自身の発達の姿は意識されていない。そこで,行政による「政策としての生涯学習」を超えて、「権利としての生涯学習」の実現が求められている。本稿では、知的障害者にとっての生涯学習を取り巻く現状を整理し、青年期の知的障害者の姿をもとに学校教育修了後の学習機会の必要性を明らかにする。そして、学校教育修了後の生涯学習という発想ではなく、人間の一生涯にわたる学習機会としての生涯学習の意味を、“life-wide”の視点から再考する。

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『教師になるための特別支援教育~パワーポイントで学ぶ』出版

教職課程の再課程認定に際して、すべての教員免許状で「特別支援教育」に関する科目が必修化されました。本書は、障害児教育の歴史的蓄積をもとに、障害児だけではなく不登校・被虐待・外国籍・貧困など、様々な発達的・教育的困難さをもつ子どもが生涯にわたって人間発達するための支援を視野に入れたテキストです。
國本は第4章の5節において、「生涯学習支援」を担当して執筆しました。学校教育修了後の教育機会として、障害者青年学級、オープンカレッジ・大学公開講座、そして「専攻科」教育について解説しています。また、文部科学省による障害者生涯学習政策にも触れ、乳幼児期から一生涯にわたる学びの機会を権利として保障することを述べました。
本書を購入されると、本書に収められている図表がデータでダウンロード出来ます。

田中良三・湯浅恭正・藤本文朗:共編著
発行元:培風館、定価2100円(税別)

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『自閉症児・発達障害児の教育目標・教育評価1・2』出版

障害児教育の教育目標・教育評価研究会として、重症児に続く第2弾の出版が「自閉症・発達障害」を対象とした本書です。今回は2分冊の構成で、1巻が「子どもの『ねがい』と授業づくり」、2巻が「『行動障害』の共感的理解と教育」という構成になっています。
國本は1巻の特論において、「青年期の発達を保障する学びのあり方」と題して書きました。特別支援学校における技能検定をめぐる問題から、就労を目標とした学校教育のあり方を批判的に検討し、青年期に必要な学びを発達的に組織する移行期の学びの事例から紐解く形で論じました。

三木裕和、越野和之、
障害児教育の教育目標・教育評価研究会:編著
発行元:クリエイツかもがわ、定価各1400円(税別)

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『障害児学習実践記録―知的障害児・自閉症児の発話とコトバ』出版

兵庫県の障害児学校で長年教員をされていた山田優一郎先生が、発話・記憶・自制心・コトバを出発点にした知的障害児・自閉症児への40年の教育実践をまとめられました。縁あって声をおかけ頂く機会を得て、國本は寄稿の形で「第8章 青年期の教育、学校卒業後の教育をどうするか─『働く』ことから『働きつづける』ための教育に」を執筆させていただきました。

山田優一郎・國本真吾著
発行元:合同出版、定価1400円(税別)

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『新版・キーワードブック特別支援教育―インクルーシブ教育時代の基礎知識』出版

好評の「キーワードブック」ですが、2017年の「学習指導要領」改訂告示、2018年の「障害者総合支援法」全面実施に伴い、大幅に改訂されました。本書では、従前と同じく「学校選択権」「高等学校での特別支援教育および通級指導」「高等部専攻科と福祉事業型専攻科」の3つの用語について解説を行っていますが、一部内容を改めています。

玉村公二彦・黒田学・向井啓二・平沼博将・清水貞夫編
発行元:クリエイツかもがわ、定価2800円(税別)

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『七転び八起きの「自分づくり」―知的障害青年期教育と高等部専攻科の挑戦』出版

本書は、知的障害を対象とした国公立特別支援学校で初の高等部専攻科を2006年に設置した、鳥取大学附属特別支援学校高等部専攻科の10周年を契機に編集された一冊です。國本は、第3部理論編で「教育年限延長の要求運動と青年期教育の意義」と題して、鳥大の専攻科設置以降の全国的な動きや「福祉型専攻科」と称される取組みの様子について執筆しました。

鳥取大学附属特別支援学校:著、三木裕和:監修
発行元:今井出版、定価1800円(税別)

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『ミットレーベン―故郷・鳥取での最期の講義』出版

戦後わが国の「知的障害児の父」と称せられた糸賀一雄。彼の生誕100周年にあたる2014年、故郷鳥取県と活躍の地滋賀県は、双方で顕彰事業を展開しました。鳥取県では、この年第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会「あいサポート・アートとっとりフェスタ」を開催し、大会テーマ「障がいを知り、共に生きる」を掲げるとともに、糸賀の思想・精神を反映させた取組みにすることを誓いました。本講義録はその大会記念出版として、故郷鳥取県にある鳥取県立皆成学園にて糸賀が行った講義録を収めたものです。
講義録の元となる講義の様子はテープで残されており、デジタルデータ化したものは鳥取県立図書館で借りだすことが可能です。この講義録は、約3時間に及ぶ糸賀の講義を網羅しています。國本はその編集作業を委託され、本書末に「解題」として、講義録から読み取れるものや顕彰事業にまつわる動きを記しました。
表題の「ミットレーベン(mitleben)」は、講義冒頭に発せられた言葉とともに、この講義全体を貫く糸賀思想を表した言葉として書名に採用しています。奇しくも、フェスタの大会テーマ「ともに生きる」という意味とも重なるもので、これまでの糸賀研究における「共感思想」の視点を、さらに明確にする根拠が表に出た一冊になると言えるでしょう。

糸賀一雄(編者:國本真吾)
発行元:第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会実行委員会、定価500円

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『障害のある子どもの教育目標・教育評価―重症児を中心に』出版

学校現場における教育目標・教育評価をめぐる課題について、深刻な危機を感じている著者らによる一冊です。閉塞的で管理的な学校現場、また教育の本質をどのように捉えるかなど、現場の中で苦しみ悩んでいる先生方も多いことでしょう。トレンドのように飛び交う「客観性」「測定可能性」「成果要求」などを、無批判的に理解するのではなく、あえて疑ってかかる姿勢も必要になります。本書は重症心身障害児の教育を対象にしつつも、今の障害児教育全体に係る問題提起を行っています。
本書で國本は第3部理論編2の中で、「特別支援教育におけるキャリア教育の要求」と題して書かせていただきました。キャリア教育の動向について再確認したうえで、教育目標・評価に議論を留めず、人間を対象とした教育のあるべき方向性に言及しました。本書を契機に、障害児教育の分野にとどまらず、広く教育界全体で議論が及ぶことを期待しています。

三木裕和、越野和之、
障害児教育の教育目標・教育評価研究会:編著
発行元:クリエイツかもがわ、定価2000円(税別)

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『くらしの手帳―おとなとしてゆたかに生きるために』出版

2013年度の『みんなのねがい』誌でリレー連載された「くらしの手帳」。青年期に生きる仲間たちに向けて、くらす・はたらく・あそぶ・お金・性と生のテーマで、ぜひ知ってほしいことが解説・執筆されました。
國本は「あそぶ」のテーマを担当し(連載では2013年10月号・11月号に掲載)、本書では第3章の「あそぶ」において、「ひとりであそぶ」「みんなであそぶ」の2連載がおさめられています。
特別支援学校高等部(本科・専攻科)や「学びの作業所」での教材として、本書が活用されることを期待しています。

みんなのねがい編集部:編『くらしの手帳』
発行元:全国障害者問題研究会出版部、定価1200円(税別)

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『もっと勉強したい!―障がい青年の生活を豊かにする教育と「専攻科」』出版

高校から大学への進学率が高まる中、障害のある青年の多くは18歳で社会へ巣立っていきます。 障害があるからこそ、ゆっくりと教育の機会を保障したい……そんな思いをかなえる場として、特別支援学校高等部などに設置される「専攻科」が注目されています。
障害のある青年に重要な役割を果たしている「専攻科」、そして青年期のさまざまな学びの姿について本書では紹介しています。
本書の企画・編集に関わりつつ、鳥取大学附属特別支援学校専攻科や鳥取県内での生涯学習権保障の取組みを執筆しました。

全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会:編『もっと勉強したい!』
発行元:クリエイツかもがわ、定価1050円(税込)

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『困った!に応え自立を励ます「思春期・青年期サポートガイド」』出版

思春期・青年期の発達課題、問題行動に対して、どのような支援を実施していくか。さまざまな分野の執筆者により、多岐な内容が網羅されているのが本書の特徴です。
障害のある青年の学校教育、卒業後の学習や生活について、障害者青年期教育論の立場から國本が分担執筆しました。

太田政男・小島喜孝・中川 明・横湯園子:編著『思春期・青年期サポートガイド』
発行元:新科学出版社、定価5775円(税込)

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